月明かりのシルビア
残酷なほど美しい満月の夜
少年は、月明かりの下で歌い踊るシルビアを見た
緑の服に赤い髪と少し派手な装い
手のひらサイズだから怖くはない
「君も一緒に歌おう?」
「君も一緒に踊ろう?」
シルビアは歩み寄ってきたが少年は恐れた
黙ったまま首を横に振った
何か2度と元の場所に戻れない気がして…
満面の笑顔の裏に何かがありそうで…
「そう…」
少し哀しげな表情をシルビアは見せた
それから一体どのくらい沈黙が続いただろう…
いや恐らく1〜2分の間だったのかもしれないが、少年には恐ろしく長く永く感じられた
堪え難い時間
うるさすぎる静寂に耳を閉じてしまいたくなった
突然シルビアが沈黙を破り「ホースアンドハトック!」と呪文を唱えた
するとシルビアの体は宙に浮き、そのままどこかへ飛んでいってしまった…
一体何だったのだろう
何か得体の知れないものに出会った恐怖はすっかりなくなっていた
嘘のようなホントの話